「あわら温泉」で統一

福井縣あわら市にある温泉の名前をどう表記するかで議論となつてゐたらしいが、最近決着したと云ふ。

開湯百二十年以上の歴史を誇るあわら市の温泉の名称について、「芦原温泉」とするか「あわら温泉」とするかの表記論議が続いていたが、市観光協会芦原温泉旅館協同組合の役員らが協議した結果、大手旅行代理店が作っているパンフレットなどにはひらがな表記が増えていることなどから、今後は「あわら温泉」で統一することにした。(日刊縣民福井ホームページ http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/fki/20060802/lcl_____fki_____012.shtml )

あわら温泉」で統一する理由は次の如し。

▽「芦原」の読み方が難しく、「あわら」の方が分かりやすいため▽県や市、旅行関係会社がすべてひらがなを使用し、流れに乗るため▽市名に合わせる−など。

「読み方」が分かる事が必ずしも商業的に有利とは限らない。岐阜の「下呂温泉」を平假名で書いたら、客足がどうなるか容易に想像がつくだらう。これはやや「特殊」な例としても、「鬼怒川温泉」も「熱海温泉」も「道後温泉」も、「分かりやすい」やうに平假名で書いた旅行のチラシなんぞ見た覺えが無い。

記事の温泉は、舊芦原町時代には「芦原温泉」と呼ばれてゐたが、合併で平成十六年三月に誕生したあわら市は「あわら温泉」を使用し、それが混亂の原因になつたと云ふ。元凶は政治家や役人の勝手な地名改竄である。抑も市名の「あわら」自體、傳統的假名遣では「あはら」の筈である。

言葉に政治の介入を許すと碌な事は無い。しかし考へてみれば、政治家も役人も日本人であるし、國民の大半が反對するやうな行爲は出來ない。結局、大半の日本人は地名なんぞどうでも良いと思つてゐるのである。已んぬる哉。(K)