NHK「みんなでニホンGO!」の御用商人(理事 上田博和)

先日たまたまNHKの「みんなでニホンGO!」といふ番組を途中から見たら、「伺わさせていただく」など(所謂「さ入れ言葉」)が国会議事録にも頻出することを紹介してゐた。「伺わせていただく」とは仮名遣もをかしいし、好きな言ひ方でもないが、文法的には間違つてゐない。しかし、「伺わさせていただく」は誤りである。

さて、この誤りを指摘するのかと思つて見てゐたら、番組は、それは問題にせず、「させていただく」は「近江商人浄土真宗・他力思想」から出たもので「おかげさまで」といふ意識の言葉だから、若い二人が「結婚させていただきました」と言ふのは認められるといふ結論に持つていく。司会者は「では次に行かさせていただきます」と言つて(御丁寧に字幕が出た)次の話題に転じた。

「結婚させていただきました」は、文法的に誤りではないが、「伺はさせていただく」や「行かさせていただきます」はこれとは質が違ふ。「伺ふ」「行く」には「させる」ではなく「せる」が付くのだから、「伺はせていただく」「行かせていただく」でなくてはをかしい。そのことを番組制作者が知らないはずは無いのに、この誤用を承認したのである。